【論文紹介】舌の動きに関して

構音障害
おくらら
おくらら

どーもー、おくららです。
今日は舌の動きに関しての論文です。
論文の紹介というよりも図の紹介ですね。

【論文紹介】舌の動きに関して

はじめに

私は研究では発話時の舌口蓋接触を専門としているので舌の運動には興味が絶えません。

以前に舌の解剖について紹介したことがありますが、今回は舌モデルを作成したシミュレーションです。

正確には実際の舌の運動を撮影したものではなさそうですが、参考になる図がありました。

論文というよりもその中の図を紹介していきたいと思います。

今回は『舌筋の運動方向をイメージしたい人』におすすめとなっております。

以前に書いた舌の解剖の記事なども参考にしてみてください。

【論文紹介】舌の解剖について
今回は舌の解剖についてです。舌の触診を行う際には解剖の知識は重要になると思います。解剖学の本に書かれているように覚える必要もありますが、少しざっくりかかれていることが多いですよね…。今回はかなり細かく舌筋の位置を紹介している論文があったので紹介します。
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舌の運動のモデル

今回紹介する論文は『Influences of tongue biomechanics on speech movements during the production of velar stop consonants: A modeling study』です。

日本語では「舌のバイオメカニクスが軟口蓋閉鎖音の発話運動に与える影響」とかですかね?

単語を紡ぐとまぁそんな感じですよ。

最初に背景とどのような力学的なモデルかが書かれています。

そのあとに具体的な筋の位置と働きの図が提示されます。


Pascal Perrier, Influences of tongue biomechanics on speech movements during the production of velar stop consonants: A modeling study, The Journal of the Acoustical Society of America 114, 1582, 2003

superior longitudinal:上縦舌筋
vertical:垂直舌筋
inferior longitudinal:下縦舌筋
hyoglossus:舌骨舌筋
styloglossus:茎突舌筋
genioglossus:オトガイ舌筋
posterior:後
anterior:前

日本語で書くとこのようになります。

オトガイ舌筋が前と後で別れて描かれていますね。

上の図が各筋の筋繊維について、下の図が各筋の活動した際の舌の状態についてです。

外舌筋は口腔内での舌の位置を変える機能を持っているのでダイナミックな変化が生じています。

内舌筋は舌の形状を変える機能ですので、このモデルでは変化が少ないですね。

 

臨床の肌感覚としては、舌の運動時には外舌筋、内舌筋の協調関係により成立しているので、各筋の単独の動きというよりも、各筋の活動バランスを考えることが大切だと思います。

  


Pascal Perrier, Influences of tongue biomechanics on speech movements during the production of velar stop consonants: A modeling study, The Journal of the Acoustical Society of America 114, 1582, 2003

母音と軟口蓋閉鎖音のモデルです。

見てわかるように母音によって舌の形状は変化していますね。

また、軟口蓋閉鎖音でもやや前方に舌口蓋接触するパターンと後方に接触するパターンがありますね。

舌の接触位置を意識することは構音練習で重要なのでそこをイメージしやすい図だと思います。

 

おわりに

今回は舌のモデルで各筋の動きや発話の際の動きを提示してくれている論文の紹介でした。

もちろん他にも細かく書かれている論文なので興味のある方はぜひ読んでもらいたい(そして内容を教えてもらいたい)。

 

ここからは私見になります。

臨床で感じることは、各筋の運動方向を意識して触診する必要があることです。

私の技術では触診してピンポイントでどの筋がどのような筋緊張になっているかの判断はできません(むしろわかる人はいないと思う)。

内舌筋はもちろん、外舌筋もかなり複雑に入り組んでいるのでピンポイントでは不可能に近いと考えています。

ただし、触診により生じる運動方向は感じることができますし、機能的な活動方向を頭にいれて触診しているので、動きを誘導した際の抵抗感などから筋の状態を予想できると思います。

そのうえで発音を行うこと調音点がどのようになっているかを予想し評価できると信じています。

この論文を読んで自分の中で舌筋の運動方向をイメージする助けになりました。

あくまでもモデルだと思うので、MRIやUSのほうがより正確なのでしょうけど、十分参考になりました。

あくまでも私見ですので参考程度にしてください。

 

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:Pascal Perrier, Influences of tongue biomechanics on speech movements during the production of velar stop consonants: A modeling study, The Journal of the Acoustical Society of America 114, 1582, 2003

コメント

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