【論文紹介】舌の拡散テンソル画像について

構音障害

舌の拡散テンソル画像について

おくらら
おくらら

どーも、おくららです。
今回が拡散テンソル画像で舌の筋線維を見るという論文の紹介です。

はじめに

先日拡散テンソル画像を用いた失語症の予後予測に利用できるのではないかという論文を紹介しました。

今回は舌の筋線維を拡散テンソル画像で分析しようという論文の紹介です。

舌の解剖を非侵襲性(軽微な侵襲?)の方法で分析できる方法なので非常に興味深い内容です。

結論から言うと『拡散テンソル画像で舌線維がみれるけど、汎用性はまだ不明』です。

なので『舌線維に興味のある人』におすすめです。

拡散テンソル画像について

国内の実験の多くは脳神経の分析に用いられていると思います。

テンソル画像についての簡単な紹介は以前に記事にしているのでこちらをご参照ください。

めちゃくちゃ簡単に言うと線維を写すことのできる撮影方法です

舌の線維について

舌の線維を拡散テンソルで描画している論文を紹介します。あまり国内での報告が多くないので海外のものも一部紹介します。

   

被験者の舌のtractographyは3次元で画像上に表示し、その俯瞰像を図3に示した。FAは、舌の右側線維は平均0.34±0.16、舌の左側の線維は平均0.3±0.12であった。

外山 稔.運動障害性構音障害の舌の筋線維の計測に関する予備的研究.京都学園大学総合研究所所報.18号.2017

DTI tractography of human tongue (axial). Depicted is a set of six 12-mm-thick axial slices of the human tongue obtained by in vivo DTI tractography viewed from the superior direction and arranged superior (a) to inferior (f).

Terry A. Gaige,Thomas Benner,Ruopeng Wang, Van J. Wedeen,Richard J. Gilbert.Three dimensional myoarchitecture of the human tongue determined in vivo by diffusion tensor imaging with tractography.Journal of Magnetic Resonance Imaging.Vol 26, No 3 2007

このように舌の線維を拡散テンソル画像で描画することが可能なようです。

ただ、拡散テンソル画像の特性上、交叉線維の描画は難しいことや撮影時間がかかることなどが研究の限界としてあると思います。

外山先生は銀歯による影響や唾液嚥下を行うことの影響なども挙げています。

たしかに、普段のMRIは脳や関節など動かさない部分を描画することが多いので心配したことはありませんでした。

口腔内にように安静時より少しは動かす場所の撮影では、どのように動かないようにしておくかは重要な課題ですね。

まとめ

今回紹介した外山先生の論文では、今後の展望としても健常者と運動障害性構音障害患者の撮影を考えていると挙げています。

今後症例数が集まり健常者との比較がなされることで臨床応用の可能性が広がるかもしれませんね。

個人的には、静的パラトグラムと組み合わせて、母音/i/を発音中の舌線維の描画を行い、舌縁挙上の舌線維を描画できたら面白いのではないかと思っています。

今後の研究の発展を待ちましょう。

  

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:外山 稔.運動障害性構音障害の舌の筋線維の計測に関する予備的研究.京都学園大学総合研究所所報.18号.2017
Terry A. Gaige,Thomas Benner,Ruopeng Wang, Van J. Wedeen,Richard J. Gilbert.Three dimensional myoarchitecture of the human tongue determined in vivo by diffusion tensor imaging with tractography.Journal of Magnetic Resonance Imaging.Vol 26, No 3 2007

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