【論文紹介】拡散テンソル画像について

失語症

拡散テンソル画像について

おくらら
おくらら

どーもー、おくららです。
本日は拡散テンソル画像について論文を紹介していきたいと思います。

はじめに

皆さんの施設にはMRIはあるでしょうか。

言語聴覚士の勤務先の多くは病院であり、MRIを有している病院も少なくないと思います。

当院も脳神経外科であり、覚醒下開頭術を行うぐらいの病院なのでMRIは高性能なものがあります。

んでMRIの撮影の一つに拡散テンソルがあります。

今回は拡散テンソル画像について興味があり調べたので論文の紹介をさせていただきます。

結論からいうと『機能予後の参考になるかもしれない、けど撮影が大変』です。

今日は『拡散テンソル画像についてあんまり知らない人』におすすめです。

DTIを良く知ってる人はそっと閉じるボタンで大丈夫です。

拡散テンソル画像とは

拡散テンソル画像とは、水分子の動きをとらえて、神経線維の走行を同定する方法です。

脳脊髄液のように水分子が自由に拡散できる場合には水分子の方向を捉えることが難しくなります。

しかし、神経線維の場合には水分子のが拡散しにくくなるので、神経線維の走行が分かるようになります。

拡散の異方性(広がり方の強さみたいなイメージです)の指標をFAと呼びます。

海だと水の流れがわかりにくいですが、川だと水の流れってわかるでしょ?そういうことです。

詳細に書かれている論文を紹介しますので参考にして下さい。

フリーの拡散テンソル画像の論文
拡散テンソル画像・拡散テンソルトラクトグラフィーの理学療法領域における臨床応用
拡散テンソル画像解析を用いた皮質下脳卒中片麻痺患者の運動機能予後予測

言語機能について

読者の多くが言語聴覚士だと思いますので、言語機能との関連についてです。

右利き正常例では弓状束のFAは左側で有意に高く、弓状束繊維密度は左側で有意に高い。
(略)
失語症予後良好群では左優位性が保たれており、失語症予後不良例では左優位性が保たれていなかった。

近藤 正樹,渡辺 (細見) 明子.拡散テンソル画像の臨床応用 : 失語症の検討.高次脳機能研究 (旧 失語症研究).30号3巻.2010

通常であれば有意半球の弓状束の線維は右側に比べて多いのでしょうが、失語症予後不良群では低下していたようです。

単純にどこまで予後予測に用いることが出来るのかわかりませんが、今後は撮影に耐えうる患者の多い回復期であれば有効な手段になるかもしれませんね。

  

The aphasia outcome of the patients whose left AF could be reconstructed was better than that in patients whose left AF could not be reconstructed, irrespective of its integrity. We believe that evaluation of the left AF by using DTT in the early stage of stroke could be helpful in predicting aphasia outcome in patients with stroke.

S.H. Kim and S.H. Jang.Prediction of Aphasia Outcome Using Diffusion Tensor Tractography for Arcuate Fasciculus in Stroke.American Journal of Neuroradiology April 2013, 34 (4) 785-790

この論文では左側の弓状束の評価を行うことは失語症の予後予測に有効だと述べています。

この二つから言えることは弓状束は予後予測には重要ってことですね。

ただし、論文では細かいタイプ分類まではされていませんでした(運動性失語とか感覚性失語とかそれぐらい)。

なので、どのタイプにどれぐらい重要かというのは今後の研究を待つところかもしれません。

英語論文までは探せていないので情報ある方はコメントください💦

   

おわりに

今回は拡散テンソル画像について簡単に紹介し言語機能における研究を紹介しました。

今後、入院日数を減らすために予後予測の重要性は高まってくると思います。

臨床での症状に加えて画像からの予後予測の力量は必要になると思うので、是非興味を持ってもらえればうれしいです。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:近藤 正樹,渡辺 (細見) 明子.拡散テンソル画像の臨床応用 : 失語症の検討.高次脳機能研究 (旧 失語症研究).30号3巻.2010
S.H. Kim and S.H. Jang.Prediction of Aphasia Outcome Using Diffusion Tensor Tractography for Arcuate Fasciculus in Stroke.American Journal of Neuroradiology April 2013, 34 (4) 785-790

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