【論文紹介】MDVPとPraatについて

構音障害

MDVPとPraatについて

おくらら
おくらら

どーも、おくららです。

今回は音響分析で用いられることの多いソフトであるMDVPとPraatの比較です。

はじめに

音声の分野では音響分析を行うことがあると思います。

私はあまり臨床で用いれておりませんが、外部で発表する際などは特に確認します。

高名な先生もすべてではないが気になる部分は行うことをセミナーでおっしゃっておりました。

なので、今回は一般的に用いられているMDVPとPraatについて書かれている論文を紹介します。

結論から言うと『MDVPとPraatでは若干数値が異なる』です。

なので『これから音響分析を検討している人』におすすめです。

MDVPとPraatの紹介

まずは、MDVPとPraatをご存じない人のために簡単にホームページの紹介をしておきます。

ちなみに私は音響分析するときはPraatを用いています。

MDVP

公式のHPから紹介文章を引用してきます。

MDVP(マルチディメンショナルボイス・プログラム)
発声におけるピッチや振幅のゆらぎや変化率、雑音成分など最大22種に対応する音声パラメータ分析ソフトウェア。分析数値提供、レポート印刷ができます。

PENTAX Medical HP

Multi-Dimensional Voice Programとは、こうした音声の音響学的解析技術の臨床応用を目的として開発されたソフトウェアであり、表1に示した33種の音声パラメーターを簡便で客観的かつ定量的に測定可能である。

西尾 正輝,田中 康博,新美 成二.加齢に伴う音声の変化.音声言語医学.50巻1号.2009

非常に優秀なソフトであり、市販されているものでは私が知っている範囲で最も利用されているソフトの一つだと思います。

ボイスセンターとか音声治療を行っている施設にはあると思います。

ただ、高価であるために音声障害を専門に行っていない場合には導入していない施設も多いと思います。

   

Praat

Praatは非常に優秀な無料のソフトウェアで、多くの方が利用していると思います。

導入するのであればまずは無料というのが鉄則だと思うのでオススメです。

下記のHPからダウンロードできます。

Praat: doing Phonetics by Computer

   

解説しているホームページは何個かありますが、私の知っているオススメは宇都木先生のHPです。初級者は特に参考になることは多いと思います。

ちなみに、調べましたが他のHPのリンクを紹介として貼ることは著作権上問題ないようです。安心して素晴らしいHPを紹介できますね。

Akira Utsugi's web site (宇都木昭研究室) - Praat入門
Praatは,アムステルダム大学のPaul Boersma氏とDavid Weenink氏によって開発されたオープンソースのソフトウェアです。音声の音響分析を行うことのできるソフトとして,世界中で広く使われています。 ※この「Praat入門」は筑波大学と名古屋大学での授業用に作成したものです。Praatの操作法を学ぶ...

   

YouTubeでも川原先生がPraatの解説をしてくださっています。

すごくわかりやすく、シリーズ化してもっともっと解説して欲しいと願っております。
コメントブロックされているとTwitterでつぶやいていたので、この想いは届くことがありませんが…。

Shigeto Kawahara
作成した動画を友だち、家族、世界中の人たちと共有

   

書籍も市販されておりわかりやすいものに『Praat入門』や『音声の音響分析』もあります。どちらも比較的安価なので購入しやすいと思います。

ちなみに、メインではないですが、項目として『神経原性発声発語障害』や『新ことばの科学入門』にも音響分析のことが書いてあります。

Bitly
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Amazon.co.jp

   

MDVPとPraatの差について

MDVPとPraatでの分析結果に差があるのか調べた論文があります。

MDVPとPraatにおける各パラメーターの比較
F0とjitterについては、女性に比べて男性の方が高い相関となった。shimmerは、男女ともに高い相関となった。HNRは男女差とも高い相関であり性差はなかった。
(略)
MDVPとPraatにおける各パラメータの正常範囲
F0は、両ソフトウェアともよく一致した。
shimmerについても、大きな差はなかった。
jitterについては男女ともにMDVPと比較してPraatの方が低い値となった。
HNRについては、MDVPと比較してPraatの方が約2倍の大きな値となった。

井手 美稀,川越 仁,湯本 英二,兒玉 成博.Multi-Dimensional Voice Program(MDVP)およびPraatを用いた音響分析結果の比較.音声言語医学.60巻3号.2019

MDVPとPraatを用いた測定値は高い相関がみられたみたいです。

ただ、測定結果は異なっていることは確かのようです。

論文でも書かれていますが使用しているソフトウェアやバージョンを記述することが必要になりますね。

なんか素人感覚ですけど、ソフト違って結果異なってたら何を信じたらよいのかわからなくなりますよね。

まとめ

音響分析をやっていて思うことはまずはやってみることです。

コロナの影響でかなり多くの方がマイクをお持ちだと思いますので、やることはできると思います。

もちろん、本格的に音響分析するにはマイクの購入が必要なので試しにやる分にはできるという意味です。

Praatは無料でダウンロードできますし、解説のHPも多いのですぐにでも導入できます。

是非皆さんも音響分析の世界に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

  

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:西尾 正輝,田中 康博,新美 成二.加齢に伴う音声の変化.音声言語医学.50巻1号.2009
井手 美稀,川越 仁,湯本 英二,兒玉 成博.Multi-Dimensional Voice Program(MDVP)およびPraatを用いた音響分析結果の比較.音声言語医学.60巻3号.2019

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