【論文紹介】ラ行音について考える

構音障害

ラ行音について考える

おくらら
おくらら

どうも、おくららです。
今回は臨床でも評価-介入することが多いラ行音の舌運動について考えていきます。

はじめに

臨床では前舌のリハビリを行うことが多いと思います。

舌尖や舌端部のからり細かい運動を要求されるので目的とする運動の要素の理解が大切であり、その点を理解していないとうまくいかないことも多いかと思います。

そこで今回は日本語「ラ行音」の舌の運動について考えていきます。

結論から言うと『ラ行音は課題によって舌運動が大きく変化する』です。

なので今回は『そもそも、ラ行音の特徴を知らない人』におすすめです。

日本語の「ラ行音」について

ラ行音の特徴

まずは音声学で扱われているラ行の特徴を知る必要があります。

[ɾ] 有声・歯茎・はじき音

母音間でははじき音の[ɾ]である。語頭とやかなで書いたときのの「っ」とその後では舌の歯茎への接触位置は[ɾ]と同じだが、接触の時間が長くはじくというより破裂に近くなる。

斎藤純男.日本語音声学入門.三省堂.p91.2014

木村 琢也, 小林 篤志.IPA(国際音声記号)の基礎 : 言語学・音声学を学んでいない人のために.日本音響学会誌.66巻4号.2010

藤原 百合, 山本 一郎, 前川 圭子,エレクトロパラトグラフィ (EPG) 臨床活用に向けた日本語音韻目標パターンの作成と構音点の定量的評価指標の算定,49巻2号,2008

藤原先生の論文では歯茎部に多くの接触を認めていますね。

ただし、個人差が他の子音よりもある印象で、EPGで見るとやや後方で接触こともありますね。

さらに、『r音化』という現象が生じることもあるので、そもそも口蓋に接触しないこともあります。

語頭や促音の後では生じない(にくい?)と思いますが、語中では生じますので注意が必要です。

ラ行音の舌運動

ラ行音の舌運動に関してWaveを用いた研究です。

ちなみに、WaveはEMAの一種であり、Waveで研究やってる研究者は多くないのでありがたいですね。

音節反復頻度
NS群はS群と比べて若干回数が少なく、反復頻度が少ない傾向にがあった。
NS群はS群と比べてT1の移動距離が小さい傾向を示した。
NS群はS群と比べてT1の速さの平均値が小さかった。

連続発話/rareru/
NS群はS群と比べてT1、T2、T3の移動距離、速さの平均値が大きく、舌端だけでなく、前舌背の動きもS群と比べて大きい傾向を示した

NS群:話しにくさを自覚する健常成人
S群 :話しにくさを自覚することのない健常成人
T1:舌尖より0.5cm後方 T2:T1より1cm後方 T3:T2より1cm後方

立川 渉, 小澤 由嗣, 吐師 道子, 北村 達也, 能田 由紀子.話しにくさを自覚する若年成人の調音動態 : 歯茎弾き音について.音声研究.19巻3号.2015

北村 達也.磁気センサシステムによる調音運動のリアルタイム観測.日本音響学会誌.71巻10号.2015

上は異なる論文ですが、T1の位置は参考になると思います。

音節反復のように同じ音が続くとNS群(なにやら話しにくい健常者)は舌端部の回数範囲速度の値が小さいようですね。

連続発話では、全体的に範囲速度の値が大きくて、舌全体が動いているってことみたいです。

連続発話の発話速度が書かれておらずはっきり言えませんが、音節反復でも1秒間に5.92±0.50回なので連続発話でもmora/secは変わらないと仮定して考えていきますね。

となると、話にくさを感じている人は母音が変化することによりラ行音の動きが大きくなるのかもしれません。

もちろん、ラ行音に意識しやすい課題と他の音にも意識しなくてはいけない課題で違いがあるのかもしれませんね。考察でもNS群は話しにくさ感じているので代償により若干過剰な調音動作となっているかもしれないと書かれています。

そういった側面の解釈も含めていろいろと考えられる結果だと思います。

まとめ

今回の論文はあくまでも構音障害者ではなく話しにくい健常者で行っているので、脳卒中の臨床に活かせるかどうかは判断を慎重にする必要があります。

機能性構音障害の出現率や発達期を過ぎても話しにくさを自覚する人の割合などを論文の初めに書かれていましたし、そういう意味なんだと思います。

ただ、おくららは主に健常者で研究しているのでとても参考になりました。

S群のT1の移動では音節反復で42.9mm、連続発話で24.0mmとなっているので、健常成人でも課題によって同じ音でも変化があることがこの研究からでもわかります。

脳卒中臨床でも連続発話になることで不明瞭さが顕著になることは多くあります。

ラ行音は難しい方が多いので母音の選択や課題の設定に関して参考になると思います。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:斎藤純男.日本語音声学入門.三省堂.p91.2014
木村 琢也, 小林 篤志.IPA(国際音声記号)の基礎 : 言語学・音声学を学んでいない人のために.日本音響学会誌.66巻4号.2010
藤原 百合, 山本 一郎, 前川 圭子,エレクトロパラトグラフィ (EPG) 臨床活用に向けた日本語音韻目標パターンの作成と構音点の定量的評価指標の算定,49巻2号,2008
立川 渉, 小澤 由嗣, 吐師 道子, 北村 達也, 能田 由紀子.話しにくさを自覚する若年成人の調音動態 : 歯茎弾き音について.音声研究.19巻3号.2015
北村 達也.磁気センサシステムによる調音運動のリアルタイム観測.日本音響学会誌.71巻10号.2015

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