【失語症訓練】RISPについて考える

失語症

RISPについて考える

おくらら
おくらら

こんにちは、おくららです。
今回は失語症の訓練方法の一つであるRISPについてです。

はじめに

皆さんは失語症の訓練でどのようなことを意識して行っているでしょうか。

以前に認知神経心理学モデルを紹介したかと思いますが、モデルに基づいて評価し訓練訓練立案している人が多いのではないでしょうか。

具体的な訓練方法の一つにRISPという方法があるようです。

恥ずかしながらこの方法は全然知りませんでした。

簡単になりますが、論文から概要を紹介し、臨床で感じることを書いていきたいと思います。

結論としては『呼称速度を要求することでより訓練効果が得られた』です。

なので今回は『呼称の速度を意識した方法を知りたい』におすすめです。

過去の訓練方法のリンクも貼っておきます。

RISPって?方法と効果

RISPについて

まずは、RISPとは何のことなのか知らないといけませんね。

RISPはRepeated, Increasingly-Speeded Productionの略です。

直訳すると『繰り返してどんどん早く発話していく』となります。

速度を要求して次々と訓練方法にようですね。

Speech production in healthy participants is a remarkable feat of cognitive processing being both rapid (at least 120 words per minute) and accurate(~one error per 1000 words).

Paul Conroy.Time for a quick word? The striking benefits of training speed and accuracy of word retrieval in post-stroke aphasia.Brain JOURNAL OF NEUROLOGY.Volume 141 Issue 6.June 2018

健常者は1分間に120語発話出来て、1000語に1個に間違いするぐらいみたいです。

本来はそれぐらい早く正確に発話出来る機能がある中で、失語症は難しくなることに着目しているようです。

臨床的な肌感覚としても、確かにここら辺が日常会話との差に影響している印象はありますね。

方法について

では方法を提示していきます。

Participants use tempo-naming for practice items.

Participants to name picture presented on computer screen, before the beep at the end of the stimulus presentation.

Stimulus presentation duration/time-to-the-beep reduced at start of each treatment session for whole of treatment session.

After beep, target word provided in spoken and written form as feedback.

If naming incorrect, participant asked to repeat the correct name after the computer/experimenter three times.

Treatment set worked through three times per session.

Paul Conroy.Time for a quick word? The striking benefits of training speed and accuracy of word retrieval in post-stroke aphasia.Brain JOURNAL OF NEUROLOGY.Volume 141 Issue 6.June 2018

今回の実験で用いた内容なので正規の方法かはわかりませんので注意です。

セッションごとに要求される時間が異なるようです。

セッション1 = 3sec
セッション2= 2.5sec
セッション3= 2sec
セッション4= 1.6sec
セッション5= 1.3sec
セッション6= 1sec

となっているようです。

セッションにつき3回行うようです。

また、間違った際には3回復唱するようですね。

速度をあげていくのがミソなんでしょうけど、1秒はかなり早いですから、見てすぐ呼称するぐらいです。

その速度を実際に導入する際には重症度は軽度じゃないと難しいかもしれませんね。

ちなみに、研究内で比較している標準的な介入方法は、10秒以内に呼称を行う方法のようです。

効果について

RISPの効果についてです。

RISP was, however, significantly more effective than standard production in promoting increased accuracy particularly at the important long-term followup assessment.

Paul Conroy.Time for a quick word? The striking benefits of training speed and accuracy of word retrieval in post-stroke aphasia.Brain JOURNAL OF NEUROLOGY.Volume 141 Issue 6.June 2018

RISPの方が正答率の向上が標準的な訓練に比べて長期的に認めたようですね。

1週間後の成績の向上も比較している標準的な介入よりも効果を認めています。

方法の違いを比べても速度の違いが大きな差かと思うので、速度を早くした呼称を行うことで効果が得られる可能性を示していると思います。

まとめ

今回は簡単にですがRISPについて紹介させてもらいました。

時間についてはコミュニケーションの困難さにつながる重要な要素だと思います。

呼称課題を行う際に、頻度-親密度モーラ数セッション全体のカテゴリーなど様々な要素を考慮し選択すると思います。

その中で速度の要素を加えることでさらに日常コミュニケーションにつながる可能性はありますね。

臨床での肌感覚としても、軽度の症例には意味を深堀するような訓練数と速度を要求しどんどん呼称する訓練などを行うことがあります。

以前に聴覚的理理解の際にも速度を早くすることの必要性を紹介したかと思いますが(詳しくはこちら)、失語症の訓練全般としてゆっくり正確に行うことのみではダメなのかもしれない。

SFA意味PCA音韻RISP速度といろいろな失語症の訓練を学んできました。

これらは体系的に行われていますが、臨床で大事なことはうまくエッセンスを利用することだと思います。

ただ、エッセンスを利用するには体系的に行ってみることも重要だと思います。

良い意味で適性を見極めてチャレンジしていくことが重要だと思います。

まだまだ、世の中には訓練方法があふれていると思うので可能な限り紹介していきたいと思います。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:Paul Conroy.Time for a quick word? The striking benefits of training speed and accuracy of word retrieval in post-stroke aphasia.Brain JOURNAL OF NEUROLOGY.Volume 141 Issue 6.June 2018

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