【失語症訓練】PCAについて考える

失語症

PCAについて考える

おくらら
おくらら

どうも、おくららです。
今回は失語症の訓練方法の一つであるPCAについてです。
昨日のSFAと似ているところもありますので参考にしてもらえればと思います。

はじめに

皆さんは失語症の訓練でどのようなことを意識して行っているでしょうか。

以前に認知神経心理学モデルを紹介したかと思いますが、モデルに基づいて評価し訓練訓練立案している人が多いのではないでしょうか。

具体的な訓練方法の一つにPCAという方法があるようです。

方法としてはSFAと似ている方法です。

私も不勉強であまり知らなかったのですが、第21回言語聴覚学会のシンポジウムでPCAのことがあり興味を持って調べてみました。

国内の論文になかなかたどり着けなかったので残念ながら英語です(残念なのは私だけ)。

結論としては『音韻を利用した訓練方法で効果が期待できる』です。

なので今回は『音韻を利用した失語症訓練に興味のある人』におすすめです。

PCAについて

PCAとは

まずは、PCAとは何のことなのか知らないといけませんね。

PCAはPhonological Components Analysisの略です。

The PCA was modelled after the semantic feature analysis (SFA) approach

Carol Leonard,Elizabeth Rochon,Laura Laird.Treating naming impairments in aphasia: Findings from a phonological components analysis treatment.Aphasiology.2008

どうやらPCAはSFAのモデルに基づいて考えられたようです。

後述しますが、どうりで用紙の構成が似ているわけですね。

基本概念については残念ながら見つかりませんでした。

ただ、音韻から目標の語彙を活性化させる方法であることが予想されますね。

方法

では方法について論文を参考に学んでいきましょう

The target picture was presented in the centre of the chart and the participant was asked to name it. Irrespective of his/her ability to name the picture, the participant was asked to identify five phonological components related to the target item:

Rhymes: ‘‘What does this rhyme with?’’
First sound: ‘‘What sound does it start with?’’
First sound associate: ‘‘What other word starts with the same sound?’’
Final sound: ‘‘What sound does it end with?’’
Number of syllables: ‘‘How many beats does the word have?’’


Carol Leonard,Elizabeth Rochon,Laura Laird.Treating naming impairments in aphasia: Findings from a phonological components analysis treatment.Aphasiology.2008

図のような中央に目標語の絵が描かれており、周囲に要素が書かれている用紙を用意します。

周囲の要素は『』、『初頭音』、『初頭音が同じになる語』、『最後の音』、『音節数』となっております。

この論文では、要素を書き込む際に難しければ最大3つの語を提示し選択させて要素を埋めていっているようです。

第21回言語聴覚学会のシンポジウムで紹介されていた選択的PCAでは『韻』の部分をハミングで提示したものを選択しているようでした(詳細は講演自体が中止になったのでわかりません…)。

やり方はSFAと同様で

①呼称してもらう
②5要素の項目を埋める(①の可否に関係なく行う)
③5要素埋めた後再度呼称を行う
④正しい場合には肯定的なフィードバックを行う
 難しい場合には復唱を行い正反応を促す

と行うようです。

論文は研究なので結構詳細に決まり事を作っていましたが、他サイトなどを参照していると上記が基本で行っていることがあるようなので今回はそのように書きました。

効果

In the present study 7 of 10 participants demonstrated notable improvements in naming treated items and, with the exception of 1 participant, good maintenance of baseline performance to untreated items, thereby demonstrating good experimental control.

Carol Leonard,Elizabeth Rochon,Laura Laird.Treating naming impairments in aphasia: Findings from a phonological components analysis treatment.Aphasiology.2008

10人中7人は呼称障害の改善が認められたって書いています。

対象はブローカ失語やウェルニッケ失語などで行ったようです。Philadelphia Naming Test(知らないテストだけど…)でも結構成績不良な人もいます。

ちなみに、Philadelphia Naming Testはこちらでダウンロードできました。一番下にPowerPointのPNTがあるのでそれをダウンロードしてみてください。スライドごとに「ピン」ってなるので便利ですね。

論文中のグラフからわかるように今回の結果は結構有効な結果だったみたいです。

まとめ

昨日同様に失語症訓練の方法の一つであるPCAを紹介しました。

PCAはほとんど国内の論文を見つけることが出来ませんでしたが、海外論文で詳細に説明されていたので概ね方法はお伝え出来たのではないかと思っています。

臨床では、音韻を利用して呼称訓練を行うことは少なくないと思います。

私も喚語困難の際にタッピングを要求することや文字チップを用いて認知神経心理学モデルのどの部分で困難さが生じているのかを確かめるのによく使用します。

また、軽度症例には初頭音を固定した語想起なども行います。

SFA同様に体系化させた方法を実施していなかったので参考になる点は多くありました。

どこまで日本語に有効なのか、また有効なタイプはどんなタイプなのかが分かりませんが、今後の研究に期待していきたいです。

SFAと同様で、100%原法と同じやり方じゃなくとも症例にあわせてエッセンスを採用し訓練してみてはいかがでしょうか。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:Carol Leonard,Elizabeth Rochon,Laura Laird.Treating naming impairments in aphasia: Findings from a phonological components analysis treatment.Aphasiology.2008

コメント

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