【論文紹介】エレクトロパラトグラフィ(EPG)について考える

構音障害

エレクトロパラトグラフィ(EPG)について考える

おくらら
おくらら

今回はEPGについて考えていきます。
僕の紹介によく出てきますが、なじみのある方は少ないと思います。
今回はEPGの紹介をしていきたいと思います。

はじめに

私が大学院で修士をとった卒論のタイトルが『エレクトロパラトグラフィ(EPG)を用いた発話速度と日本語構音の変異に関する実験的研究』ということもあり、EPGは自分の専門分野の一つだと思っています。

生涯をっけて突き詰めていきたいと思っていますし、普段読む論文の中心もEPGです。

ただ、多くの言語聴覚士の方々はEPGのことを知らないと思います。

授業で一瞬だけ取り上げるぐらいだと思います。

ただ、構音の運動動態を知るために貴重な研究機器だと思いますし、何より私はこれで構音の視点が広くなりました

いままで論文で紹介してきましたが、紹介したことはなかったので知ってもらったうえで今後の論文を読んでもらうと視点が変わると思います。

結論としては『がどやって口蓋に接触しているか知ることが出来る機器』です。

なので『構音を矢状面(横から)しか考えれていない人』におすすめです。

エレクトロパラトグラフィ(EPG)ってなに?

ずばり、まずはEPGってなんなのかを説明します。

EPG(エレクトロパラトグラフィ electropalatography)は、調音動態を継時的に測定できる生理学的検査機器の一種。

EPG研究会.2020.9.21閲覧

EPGは人工口蓋床の上に一定数の電極を配置し、舌と電極が接触したときにその電極がスイッチの役割を果たして、外部の信号検出器に電流を流す仕組みを持つ。舌の接触がなくなると電流が流れなくなるため、継時的な調音動態の測定が可能であり、それゆえ動的パラトグラフィ(dynamic palatography)とも呼ばれている。

松井 理直.エレクトロパラトグラフィ(EPG)の基礎.日本音響学会誌.73巻8号.2017

人工口蓋床に62個のセンサーがついており、舌が接触するとセンサーが反応するっていう検査機器です。

国内では、山本一郎氏が作成しているものとCompleteSpeech社のSmartPalate Systemがあります。

今回は山本一郎氏の作成しているEPGを中心に話をしていきます。


SmartPalate Systemはリンクを張っておくので興味のある方はHPをご覧ください。

得意なこと

・サンプリング周期は10msec(0.01秒)でかなり高速に測定可能
・侵襲が少なく、話者間比較も可能
・センサーが62個と多いので広範囲を詳細に分析可能
・人工口蓋床を装着するだけなので身体運動の拘束性が低い

サンプリング周期とセンサーの数からは空間解析能時間解析能に優れていることが言えます。

調音は高速な運動なのでこれぐらい速くないと解析しきれないのでしょう。


リアルタイムに舌口蓋接触の平面的な分析に優れています。

苦手なこと

・完全にオーダーメイドなので時間と費用がかかる
・あくまでも人工口蓋床を装着している状態での調音である解釈が必要
・最初は違和感があるので、計測までに少し時間がかかる

山本一郎氏に作成を依頼する必要があるので時間がかかるのは否めません(ちなみにSmartPalate Systemは輸入しなくてはいけないので手続きが大変と聞きました)

また、人工口蓋床を装着しているので、その状態であることを理解する必要があり、違和感なく話せるまでに時間が少しかかるので、研究などでは測定の前に少し会話を行うなどの調整が必要です。

どんな画像がえられるのか

分析にはArticulate Instruments社のArticulate Assistantを用いて実施します。

Articulate Assistantの使用画面

サウンドスペクトログラムとEPGのパターンが表示されます。

私は、右上のパターンをExcelに入力し統計処理を行っていきます。

そもそもでの電極がどこに該当するかわからないと解析のしようがないですよね

研究者によってことなりますが、私はこの基準を参考にしています。

松井 理直.エレクトロパラトグラフィ(EPG)の基礎.日本音響学会誌.73巻8号.2017

位置関係を図式したスライドも掲載しておきます。矢状面とあせて考えてみてください。

実際にどのように動くのかを動画にしてみました。

実際の使用画面を用いると権利の問題が生じても良くないので私が作成した動画を提示します。

[ata]のEPGパターン

ちなみに、この動画を作成するだけでも40枚近い画像を用いています。

なので発話全てを分析するのは不可能に近いので最大接触パターンの累積頻度をパターンとして用いることが多いです。

このように、発話時の舌口蓋接触を詳細に描画し分析することができます。

まとめ

手間暇かかることを差し引いてもEPGでわかることはまだまだ残されています

特に発話速度などはブラックボックス状態なのでこれからも研究して発話におけるリハビリと生活の溝を埋めていくことを目指していきたいです。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:松井 理直.エレクトロパラトグラフィ(EPG)の基礎.日本音響学会誌.73巻8号.2017

EPG研究会

目で見る構音障害
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目で見る日本語音の産生 エレクトロパラグラフィ(EPG)を用いて
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