【構音訓練】有声-無声について考える

構音障害

有声-無声について考える

おくらら
おくらら

構音練習の際に、子音の選択は重要な内容だと思います。
調音点、調音方法はもちろん有声-無声も影響します。
本日は有声音と無声音の利用方法について考えていきます。

はじめに

皆さん構音練習を行う際に、どのような工夫をしていますか?

子音の調音点の違いや後続母音をどうするか等は重要であると思います。

子音の選択には、調音点調音方法に加えて有声-無声の違いを考えると思います。

結論から言うと『構音運動全体の負荷の調整に大事』です。

ということは『タイプによって注意しなくてはいけない』ということです。

本日は有声-無声の違いについて考えていきたいと思います。

有声-無声の特徴

ご存じの通り、有声子音と無声子音の違いは声帯振動の差です。

そのことからも喉頭に負荷がかかることは想像ができると思います。

ここで音響学的に口腔内圧が変化するかどうかとかそういう話をすると(私にとって)難しいのでおいておきましょう。

日本語は母音(V)と子音(C)の組み合わせで構成されているので、子音が有声か無声かでは声帯振動を継続させるかさせないかが変わります。

無声子音の構音を考えると、(C)VCV構造になり『あり-なし―あり』になりますね。

この切り替えの負荷を考えると臨床でみられる無声子音のはずが有声音化してしまうことの理由は納得できるかと思います。

その他にも舌口蓋接触について差が生じますので、参考になる論文を引用します。

Specifically,we found that Japanese voiced alveolar /d/ was consistently produced with less linguopalata1 contact than voiceless /t/.

Finally, voicing differences between alveolar fricatives were most clearly mani fested in the width of the central channel, with /z/ having a narrower groove than /s/. The narrower groove has likely contributed to the overall greater anterior contact for /z/ compared to /s/. The alveolar constriction for /z/ was also found to be more advanced than for /s/ (which could also be due to the more constricted central region).

Alexei KOCHETOV.Voicing and Tongue-Palate Contact Differences in Japanese Obstruents.音声研究.18巻2号.2014

本文には、有声歯茎音である/d/が無声子音の/t/よりも舌口蓋接触が少ないという内容が書かれています。歯茎部では、/z/は/s/に比べて中央の溝が狭くなっている、ようするに/z/が/s/よりも前方の接触が多いって内容が書かれています。

破裂音では有声子音の方が接触が少ない特徴を持ち、摩擦音では有声子音の方が接触が多い特徴を持つということです。

図を見てもそのことはわかると思います。先行母音は/a/で固定されていますが、後続母音は5母音すべて行っているので、後続母音による運動動態の違いではなさそうです。

喉頭筋群の運動(声帯振動)と調音方法による舌口蓋接触の違いが有声と無声により異なるようですね。

構音訓練でどのように有声-無声を考えるか

では、どのようにして構音訓練に影響するのでしょうか。

臨床では、無声子音が有声化する時に最も気に掛ける要素となります。

多くの場合には頸部の緊張が高まっており、喉頭筋群にも緊張が波及し声門の開閉に支障がきたしていると評価します。

その場合には、多くの場合には、ため息などを行い喉頭の緊張の緩和と開放の知覚を促します。

後は声門摩擦音/h/と母音を利用しながら、子音では声門を開き、母音では閉めるような発話の練習を行います。

その時に、母音は緊張を誘発するような/i/や/e/は避けるようにします(母音の選択に関しては後日)。

もちろん一例であり、共鳴に意識を向けるためにあえて鼻音を用いてうまくいったこともあります。

どんな方法でも良いので喉頭の緊張の高まりを制御するような発話練習を行うことから始めるのがセオリーのように感じます。

ちなみに、『かきくけこ』よりも『がぎぐげご』の方が難しい方が多いですね。これに関しては声帯振動のみでは説明できないので、おそらく舌口蓋接触が影響しているかと思います。

この点に関して深く評価したことはないので今後の自身の課題にしていきたいと思います。

他にもいい方法があればコメントいただけると励みになります。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:Alexei KOCHETOV.Voicing and Tongue-Palate Contact Differences in Japanese Obstruents.音声研究.18巻2号.2014

コメント

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