声帯振動について考える

構音障害

声帯振動について考える

おくらら
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発声時の声帯振動についてです。基礎の話なので新しい情報はないかも知れません。ただ、声帯振動を理解して介入することは重要なので復習に利用してください。

声帯振動のメカニズムを確認する

構音の過程には、呼吸-発声(喉頭原音)-共鳴-調音の過程があります。その中でも喉頭原音の産生には声帯振動が必要となります。

以前に声の高低について論文を紹介し意見を書きましたが(詳しくはこちら)、今日はそもそもの声帯振動についてです。

とても分かりやすく紹介してくれていた論文があったので紹介します。

喉頭は軟骨と筋からなり、4種類の主たる軟骨である輪状軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、喉頭蓋軟骨が枠組みを形成する。(略)内喉頭筋は、輪状甲状筋、甲状披裂筋、披裂筋、外側輪状披裂筋、後輪状披裂筋の五つの主な筋がある。

榊原 健一.発声と声帯振動の基礎.日本音響学会誌.71巻2号.2015

ちなみに、参考書に書かれているような外喉頭筋は、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋、下咽頭収縮筋群です(間違っていたらすみません…)。細かい軟骨や筋の分類はありますが大まかにはこのような構造物の組み合わせで喉頭が形成されています。

内喉頭筋の運動は論文の図からわかるように各筋で閉鎖を作っています。

閉鎖した後の声帯の振動は自動振動といわれており、自身の筋の収縮と弛緩を繰り返して閉鎖しているわけではありません、かなり前はそういった説もあったそうですが、現状では空気力学理論が一般的ですね。

筋弾性空気力学理論
1)閉鎖期→開大期(1-2)
声帯が内転し、声門加圧が上昇し、声帯振動が開始する。

2)開大期(2-4)
声帯が外側に動き、気流が声門を流れる。
声門下圧が一定だとすると、声門の開大に伴い流量、流速ともに増加し、気流の流速と圧力に関するエネルギー保存則(ベルヌーイの法則)により声門間の圧力は下がり、また、外向き運動により変形が増大した声帯の弾性復元力は増加し、内向き運動へ転換する。

3)閉小期→閉鎖期(5-10)
弾性復元力が圧力よりも大きいとき、声帯は内向き運動を行う。

論文より一部抜粋

榊原 健一.発声と声帯振動の基礎.日本音響学会誌.71巻2号.2015

臨床では、声帯振動を考えるときには喉頭の筋緊張呼吸機能を評価し、声質から各種の状態を検討します。粗糙性嗄声、気息性嗄声、努力性嗄声、無力性嗄声、発声持続時間、失声などの組み合わせにより喉頭の緊張が正常化と高い/低い、呼気流が正常と低下を評価します。

逆に言えば、上記症状がある際には喉頭の筋緊張と呼吸機能を評価しなくてはいけないと患者さんが教えてくれていることになるいます。

これらの症状にはセオリーがありますが、逸脱する場合もあるので注意しながら評価する必要がありまし。しかし、十分に考えればきっと状態が判明しリハビリのヒントになると思います。

是非、普段の臨床の一つのツールとして利用してもらえればと思います。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

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コメント

  1. […] 声帯振動について考える声帯振動について考えました。 喉頭周囲の解剖と… […]

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