超音波で嚥下をどこまで評価できるか②
超音波で舌運動を評価する
昨日は舌骨筋群の筋の長さについてすこし意見を書かせてもらいました。
興味のある方はこちらをご覧ください。
今日は舌の運動を考えてみたいと思います。
超音波診断装置では、下顎と舌骨の間にプローブを当てることで舌の運動をみることができます。超音波の性質上、空気の部分があると映らなくなるので、舌と口蓋の間に空気がある状態では口蓋は映らないですが、舌口蓋接触が生じた際には口蓋のラインもみることができます。
超音波の特徴を考えても構音のような高速の運動を観察するよりも嚥下のような運動の方が観察しやすいかと思います。
嚥下領域での活用法といえば、食塊形成と食塊移送の際の運動が知りたいところですよね。
プリン指示嚥下時において被験者間で変動係数に差が認められた。このことは、嚥下時の個性を反映した結果と考えられ、食塊移送の特徴、すなわち舌の運動パターンをエコーを用いて検討することが可能であると考えられた。
杉下 周平, 川崎 聡大, 片岡 裕子, 福島 邦博, 武田 靖志, 野崎 園子, 西崎 和則.耳鼻と臨床.52巻4号.2006
この論文では水とプリンを指示嚥下しているようですが、プリンで個性のうようなものがでたそうです。水のように舌での処理の個体差が少ないものでは変動が少なく、プリンのように舌での処理の個体差があるようなものでは変動が大きかったのは納得のいくところです。
変動があると言ことは数値と照らし合わせながら評価するような方法は難しいのかもしれませんが、検査方法の習熟により食材により食塊形成や食物移送時の舌運動に選択肢のあるものに対して質的な評価はしやすいかも知れませんね。
ちなみに3D/4D機能搭載の超音波診断装置を用いた研究もあります(花澤 2018)。これに関しては、現状では臨床応用は難しいと思います。我々のレベルでは舌運動の学習や理解の参考にはなるでしょうが実際にやってみたい欲を満たすものではないと思います。
とにかく、超音波診断装置を用いれば舌の運動は視覚化することが可能であり、食塊移送の個別性を評価する手掛かりになるかもしれないということがわかりました。
これからも色々な視点から考えていきたいと思います。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。
引用:杉下 周平, 川崎 聡大, 片岡 裕子, 福島 邦博, 武田 靖志, 野崎 園子, 西崎 和則.耳鼻と臨床.52巻4号.2006
花澤 智美, 荒木 和之, 黒田 沙.3D/4D超音波診断装置を用いた嚥下動態解析への応用:食塊を含めた舌動態描出の検討.歯科放射線.58巻2号.2019
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