舌骨筋群の機能を考える
舌骨筋群の筋紡錘から機能について考える
言語聴覚士と嚥下障害は切っても切り離せないですね。嚥下障害の臨床では嚥下動態や訓練を考えるときに舌骨筋群は重要な筋群の一つでしょう。復習ですが一般的には、舌骨上筋群は顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋で、舌骨下筋群は肩甲舌骨筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋といわれています(各々の筋の働きに関しては解剖学の書籍に任せます)。
そんで、セミナーなんかに参加するとPTやOTからこんな質問が来ます。
「頸部は筋紡錘多いって言われてるけど舌骨筋群って筋紡錘あるの?」
なかなか言語聴覚士は筋紡錘のことに関して知らないと思うのですごく簡単に説明すると、筋の中にある筋の長さの変化に反応するセンサーです。
ちなみに、閉口筋にも多く存在するといわれています。閉口筋の長さが変化するということは開口している状態ですね。閉口筋自体に含まれている筋紡錘によって開口度や速度をモニターしているわけです。
では舌骨筋群に戻って舌骨筋群の筋紡錘の分布はどうなのでしょうか?
・舌骨下筋群は(略)豊富を筋紡錘に有している。
・舌骨上筋群は(略)筋紡錘をほとんど有していない。
三枝 英人,舌骨上筋群の解剖,耳鼻咽喉科展望,53巻4号,2010
開口筋の一つである顎二腹筋には筋紡錘が少ないってことです。さっきも書きましたが閉口筋には筋紡錘が多いといわれていますので、ここでもうまくバランスが取れていますね。
・閉口筋群により下顎骨の位置が制御され、舌骨上筋群の自在な機能が保障される。
・舌骨上筋群の筋活動により、舌骨の上方への荷重が加わると、舌骨下筋群の筋紡錘が発火し、舌骨下筋群が反射的に活動する。
・直立姿勢、呼吸、開口の支障により舌骨下筋群の筋緊張が高まっている場合には、舌骨が下降してしまう。もしくは、舌骨上筋群を支持する下顎骨の安定性が不良であればその機能を十分に果たすことが出来なくなってしまう。
三枝 英人,舌骨上筋群の解剖,耳鼻咽喉科展望,53巻4号,2010
このことからもわかるように下顎、舌骨の位置関係が崩れていると舌骨上筋群、舌骨下筋群が適切に活動できないということです。
嚥下訓練の際に舌骨筋群の活動を高めるようなトレーニングはよく行われているかと思いますが、姿勢や頭頚部-下顎-舌骨の位置が崩れていることは適切な効果が得られにくくなるってことですね。
皆さんも舌骨筋群のトレーニングを行うことも多いと思いますので是非考えてみてください。
これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。
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