文の聴覚的理解を考察する

失語症

文の聴覚的理解の時間的要素を考える

短文の理解について少し考察し要素をまとめたいと思います。

よく失語症患者のリハビリを行っていると、聴覚的理解のレベルについて話があがります。日常的なコミュニケーションの基本は音声言語であり、家人や病棟スタッフ、リハビリスタッフにおいてもそれは同様だからです。

「〇〇さんは、どれぐらいこっちの言ってることわかってる?」

「どんな風な言い方をすればわかるかな?」

こんな感じでコミュニケーションについて話が挙がることが多いです。では、どのように皆さんに伝えたらよいかということです。なんの根拠をもって伝えるかが大切ですよね。単純に失語症患者だから「短くゆっくりと伝えてください」って指導するならスローガンのように挙げていればいい話なので、根拠をもって「これぐらい!!」と言いたいものです。

基本的には注意の持続性・聴覚的把持力・単語の理解・文法理解が文の聴覚的理解の要素だと考えていました。これらについては、今後機会を設けて少し深堀したいと考えています。

ある論文ではこんな風に述べていました。

失語群では新奇な情報に対し素早く柔軟に処理を転換できないことや「音→意味変換」処理に時間を要することが考えられる。
(略)
失語群にとって1秒条件の課題難易度が極めて高い。

山﨑勝也,関野とも子,古木忍. 文の聴理解に影響を及ぼす因子について―SLTA「口頭命令に従う」の分析を通じて―.『高次脳機能研究』.第34巻第3号,78-90.2014

詳しい実験の方法などはフリーアクセスなので原著を読んでもらうこととして、上の引用文だけでも時間的要素を考慮する必要があることが分かってもらえると思います。

恥ずかしながらSLTAの口頭命令で減点している場合には、上記に加えて、行為の問題・対象の多さなどを考慮していましたが、時間的要素を考えきれていませんでした。臨床では訓練の際には単語の提示速度を気にしていても、掘り下げで速度を変えてデータを取っていませんでした。

短文レベルでは難しい場合には単語レベルで声掛けを行うことは有効だと思いますが、速度のことを指導するならSTもどの程度なら言語処理が可能なのか把握しておきたいですよね。

そもそも、短文がどのような理由で困難になっているのか判断できないとリハビリも出来ないのでしっかり評価する必要し把握することが大切ですね。

これからも色々な視点から考えていきたいですね。
皆さんも気づいたことがあればコメントやコンタクトで意見ください。

引用:山﨑勝也,関野とも子,古木忍. 文の聴理解に影響を及ぼす因子について―SLTA「口頭命令に従う」の分析を通じて―.『高次脳機能研究』.第34巻第3号,78-90.2014

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